先日某テレビ番組で、某タレントさんが犬のしつけに悩んでいる飼い主さんを訪問してしつけ方をレクチャーするコーナーで、
散歩を嫌がって飼い主さんが引いても頑として歩かないバーニーズに、チョークチェーンで一緒に歩くトレーニングをしているのを観ました。
そのタレントさんの事は私は好きです。
家族のわんちゃんは7匹も居るということを最初に知った時は、”芸能人で超多忙なのだから、お世話は自分でしていないのだろう”と、
大変失礼ながら勝手な偏見を持っていました。
でも何かの番組で、散歩もお世話も全てご自分でなさっていて、
とても愛情深いのを感じて、大好きになりました 😛
ただ、今回のチョークチェーンは体罰的なトレーニング用具で、犬を虐待、最悪殺してしまう凶器にもなり得てしまうものです。
テレビで放映された直後で、多くの飼い主さんが真似をして買ってしまうことが心配なので、チョークチェーンの危険性について今日は書きたいと思います。
チョークチェーンは、リードが張ると犬の首を締め付ける仕組みになっていて、
犬に、”引っ張ると首を絞められる”(=嫌な事が起こる)と学習させることで引っ張りを矯正する犬具です。
犬のトレーニングの歴史上、1980年代頃までは「強制訓練」が主流でした。
その後、英イアン・ダンバー博士や米テリー・ライアン先生等によって、科学的な犬の学習理論に基づいた「犬を褒めて教えるしつけ」が広まったのですが、チョーク・チェーンは、強制訓練時代の古いやり方です。
このチョーク・チェーンを効果的に使うとしたら、犬の瞬時のボディランゲージを見逃さずに、絶妙なタイミングと強度でギュッと犬の首を絞め、犬に一度で学習させる技術を身につけていなければなりません。
つまり、一般飼い主さんには、使いこなすのはとても難しいのです。
多くの場合飼い主さんは、適切な強度が分からずに一度で効果を得られずに、その為愛犬の首をガツンガツンと何回も、慢性的に締め続けることになります。
しかも効果が無いので、回数を重ねる毎に、だんだん強度を強めていくことになってしまいます。
でもその結果犬は、弱い嫌悪刺激~だんだん強い嫌悪刺激にとだんだん慣れていってしまう為、頚椎や後頭部の神経を壊していっているにも関わらず、引っ張り続けてしまいます。
これが何週間、何年も続いて、「犬の目が白濁していておかしい」と動物病院に連れていった時には、既に緑内障で手遅れ、という実例もあるそうです。
私の尊敬する家庭犬しつけインストラクターの方も、「テレビを真似たトレーニング方法で愛犬を身体的に傷つけてしまったり、愛犬との関係が壊れてしまった飼い主さんからの相談が殺到することがある」と仰っていました。
これを読んでくださった飼い主の皆さまには、愛犬を傷つけてしまって苦しむなどという経験はして欲しくないと思います。
様々なメディアで情報が溢れていますが、トレーニング用具、方法を試すときは、その安全性は問題ないか、一呼吸おいて、よく考えてみてくださいね。
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